雑談

狭間の人

知り合いに宮城県出身の人がいました。

この人は非常に効率よく仕事をこなし、不思議なくらい上司や周りの人間に好かれます。

理由はよくわかります。気さくでユーモアがあり、ボキャブラリー豊富なので周りの人間を楽しませ、虜にしていきます。特にお母さん世代には爆発的な人気があり、とても可愛がられていました。上司のおじさん達にも好印象を与え、さらには年下の学生達にも人気があり、ここまでくるとなんだか笑えました。天性の人たらしってこういう人か‥。

 

ただ、とても不思議な人でした。

いろんな人から信じられないくらい好かれているのに、誰とも深い付き合いになりませんでした。連絡先すら交換しなかったり、近づこうとするとなぜか壁があります。

私もその人もとてもおしゃべりなので、膨大な時間を使って、たくさんの話をしました。人から見ればなんでも話すような仲でしたが、やはり確信的なことは話さない傾向がありました。

それでも多分、本音を話してくれたようなことがありました。彼の出身地は知っていたので、きっと何か感じていることはあるのだろうな、と心のどこかでは思っていましたが、もちろんこちらから話題を振ることはありませんでした。突然何かのきっかけで話し始めました。自分には何も起こらなかったと言いました。

話しながらも、ずっと「俺には何も起こっていないんだけどね、全然平気なんだけど。」を繰り返し言います。自分は大丈夫だったということが後ろめたく感じているのか、という印象でした。こういう経験をしている人、記事やニュースでよく耳にしますが実際にこういう話を聞くのは初めてでした。いろんなものの挟間にいて、気持ちをどうすることもできないんだと思いました。私の想像力ではいろんなことが補いきれませんでしたが、その人の話し方や表情はいつもと違い、何も言えませんでした。何もできないんだなーと思いました。

ご飯に誘ってくれる人がいたら行ったら良いのに、とか、好いてくれている人とは連絡先交換しても良いんじゃないか?とか思っていたことを本人にはなしたことがありましたが、その後やっぱり何も言えなくなりました。

結局、その人とは疎遠になり会って話すこともなくなりましたが、なぜか定期的に思い出すことの一つです。離れてしまってよかったのだろうか、といまだにわかりません。

 

私の勝手な主観で、こんな人いたなあ‥と。

関東に住み、知らない私はこんなことを思うのです。

 

 

ABOUT ME
もじもじ
1995年生まれ。 かっこいい建物が好き。 音楽も好き。 本もたまに読む。 雑踏は苦手。 犬と猫、好き。(今猫がいる)